兵庫県に生まれた松岡映丘えいきゅう(1881~1938)は儒学者の父、民俗学者の柳田國男をはじめ歌人、言語学者らを兄にもつ学者一家に育ちました。東京美術学校を首席で卒業、平安・鎌倉期の絵巻物や有職故実を丹念に研究し、『源氏物語』をはじめとした古典文学に取材した王朝貴族、鎧武者たちを優美に、叙情豊かに描き、やまと絵の再興に努めています。しかし、その表現は古典だけにはとどまらず、近代的な造形感覚を加味した「新興大和絵」を展開していきました。そうした成果が《右大臣実朝》へと結実し、初代水谷八重子をモデルとした《千草の丘》で、よりモダンな作品へと花開いていきます。「古典の教養に立脚して時代に生きよ」と弟子たちに語った言葉はまさに映丘の画業そのままを表している言葉といえるでしょう。
30年ぶりの大規模な回顧展となる本展では、映丘16歳の最初期の作品から晩年にいたる約70点の作品に加えて、映丘の生家に残されたスケッチ、画稿類合わせて20点余りを展示し、その画業を紹介するものです。
テレビ東京系「美の巨人たち」で≪千草の丘≫が取り上げられました。
<開催案内>会 期 2011年10月9日(日曜)~11月23日(水曜・祝日)
休館日 月曜日(ただし10月10日は開館、翌日休館)
開館時間 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
共通観覧料 一般500円、高・大学生および65歳から74歳300円、
中学生以下および75歳以上無料(その他各種割引あり)
主 催 練馬区立美術館・日本経済新聞社
<関連イベント>学芸員によるギャラリートーク 日時 10月15日(土曜)、10月22日(土曜)、11月19日(土曜)
各日午後2時から
特別講演会「最後のやまと絵師・松岡映丘を応援する」
講師 山下裕二(明治学院大学教授)
日時 11月5日(土曜) 午後2時から
美術講座-“目からウロコの”日本美術史1:「平泉中尊寺と平安の仏たち」
講師 岩佐光晴(成城大学教授)
日時 10月30日(日曜) 午後2時から
2:「やまと絵の一千年」
講師 高岸輝(東京工業大学大学院准教授)
日時 11月12日(土曜) 午後2時から
記念コンサート「琵琶と語りで聴く いにしえの恋ものがたり」
出演 筑前琵琶奏者 川村旭芳
日時 10月29日(土曜) 午後4時から
会場 美術館ロビー